20周年公演「月世界フィルム」を終えて。


2020/11/14(土)

ピノキヲ20周年オンラインワンマン公演

「月世界フィルム」

当日視聴して下さった方、アーカイブで視聴して下さった方。

まずは、有難う御座います。


アーカイブ期間も終了し1クリックで消えて行く事になりましたので

色々とこの公演について書き記しておこうと思います。

いつもなら「ライブ当日の備忘録」を残すのですが今回の公演は

自分の中でもとても納得というか満足というか「ピノキヲ」を全部詰め込めた感もあり

観てくれた方には大なり小なり伝え切った様な気がするので備忘録というか

「制作ノート」の趣きで記して置きます。


元々は11月初旬に大規模なピノキヲ20周年イベントが予定されていたのですが

そうもいかない御時世になってしまい中止。中止を決定したのが8月。

さて、どうしたもんかねえ。と、やんわりとオンラインワンマンを想像。

しかし別件のスケジュールが同じく11月初旬-中旬に仮予定として動いていたので

時期が被る事もあり、なんとなく無理かなーと思ってました。

しかしそこから一転、そのスケジュールが移動になってしまいポカンと11月中旬行けるぞ!

と決まったのが9月末。

実質1か月半に満たない準備期間で出来るのか!?

と悩んだが、悩む前に飛ぶのが僕なので箱を押さえる。

さあ!発表は最低でも公演日の1か月前と僕は思っているので時間が無い。

コンセプトも何も決まってないぞ!


幸いライブが出来ない期間が長いせいで「ピノキヲって?」「なぜ僕は舞台に立ちたいの?」

と自問自答する時間は有った。

そして驚く程に「ピノキヲ」自体のコンセプトや考え方が一貫していたので

「月世界フィルム」というタイトルは割とすぐに出て来た。

よし概要を取り敢えず発表だ。

と、なったのが10月5日くらい。

タイトルは出来たが中身は?ええ、この時点では完全に未定。

結構「言葉先行」で内容を作るタイプです僕。


さて此処からが「面倒な僕」が顔を出してきます。

素直にね「フルサイズのワンマンして「みんな!20年有難う!これからも宜しくね!きゃは!」」

って、やっときゃ良いじゃない。


所が此処で「配信ライブとは、どうあるべきか?」なんて考える面倒な僕が居るんですよ。


実際イベント形式で配信ライブに参加させて頂いたりと、他所様の配信を観たりしたのですが

どうも「自分の中での明確な答え」は出ていませんでした。


ライブとは言う物のアーカイブ等で「映像」として残る以上、それは「パッケージされた作品」

にしなきゃ行けないのでは無いか?

じゃあ映像処理を多用して、まるでMVの様に?

それじゃライブじゃねえなあ。

ライブ感とパッケージ作品の両立のラインは?

タイトルに「フィルム」という言葉が付いたが映画だと脚本、音楽、カット割りと細かく決まった

「パッケージされた作品感」が凄く強いよなあ。

んーーーー。ん!


編集無しの長回しで、最低限の打ち合わせだけで「生放送する映画」ってのは!?

じゃあ時間は1時間半!

いえね個人的に「ダレずに観れる映像」って1時間半だと思ってるんですよ僕。

方向性は決まった!


この方向性に決まった時の正直な気持ちは「会場を濱書房にしといて良かった!」です。

配信の為に大阪から都道府県を跨ぐ移動ってどうなの?と言われても仕方ないと思うのですが

濱書房スタッフの皆様、ピノキヲの曲を熟知しすぎなんですもん!

実際に配信映像を観た方は分かると思いますが曲中のカメラワークが完全に僕の動きの癖を知ってるんですもん。

オープニングとエンディング以外は何も指示出してないですからね!あの映像。

照明に関しても、僕の簡素すぎる指示で、あの出来ですから。

正直「大阪でも配信やってる箱あるし近いし」で濱書房じゃない場所を選んでいたら今回の出来は

無かったと思います。

こんな程度の指示書ですから↓

こんな簡素な指示で、あの完成度のカメラワーク&照明を作ってくれるんですもの!


さて「生放送する映画」という方向性は出来たが実際にどうする?

「映画」自体が「映像作品」なので映像処理で魅せる方向は無し。

となると「映像を使わないで映像映えする」という感じで考える。


以前から「布に照明あてると綺麗」という事で布を多用した舞台美術がアイデアストックに有ったので其れに挑戦してみよう。

どう布を配置したら良いのかを以前の濱書房での配信映像を何度も見返して

画角やカメラ通して濱書房の舞台がどう見えるのかを研究する。

コンパクトな会場なので、どうしても奥行きが詰まって見えると思い

それを目の錯覚で奥行きを出すために等幅の布を中心に向かって交差させる配置を基準に考える。

ほら中学の美術で習ったでしょ?一点透視図ってやつ。

交差させた狙いは消失点を床に置いて、そこから再度広がらせ背面壁で上に伸ばす事で

舞台のサイズ感を消す為です。

その配置に対して奥から手前に八の字に布を配置して距離感を錯覚させる。

実際に会場で見ちゃうと「ふーん」て塩梅なんでしょうがカメラ通した映像で見たら

相当、効果あるでしょ!と完全に「映像で見る」て事を意識していました。


5メートルの布を8本、、、、布って高いんだなあ。とも実感しました笑。


ここまで来ると同時に舞台コンセプトは「ピノキヲ」という小さな世界と、衛星の様に回る惑星を

配置するという所まで出来上がっていました。


自分の小さな世界を表す記号として「自分の部屋」。

布と同じくストックしてたアイデアとして舞台にベッドを置く。というのが有ったので

寝起きする場所としてベッドは部屋の象徴でも有るなあと思い採用。

そのベッドを、どう搬入する?どこから手配する?などは、この時点では全くのノープランだったけどね!。


そして、そんな物が存在しているのかも知らないまま「惑星を宙に吊るしたい!しかも色も大きさも数種類!」

そこからは各種アイテム探しの旅。幸いイメージ通りの物が存在していて良かったです。


衣装に関しても「つうか、それなら天体を纏いたい」と探し始め星柄は有っても天体となると

イメージに近い物が中々なくて(あってもサイズが無理とか)ちょいと苦労しました。


小物類に、すみっコやブルーナを持ち込んだのは「シリアスな場面なのに妙にカワイイ物が映り込む」という画を狙ってです。

その「ちぐはぐ感」はピノキヲらしい部分だなと思っているので。


僕の性格なんでしょうがシリアスな局面になると少しハズして、くすりと笑わせてしまいたくなる。という部分が有ります。

「アダムスキー中学生日記」や「逆さまに映る桜の木」などのシリアスな曲中に妙にファンシーな物が鎮座している画をアーカイブで確認出来た時は「よし!」と軽くガッツポーズしましたね。


こうして舞台に持ち込む物が揃ったのは既に11月に突入していました。


残る問題として作品全体の統一感というか締めの部分が欲しいな。と。


それで会場BGM,オープニングSE,エンディングSE。を同じ曲にする事で全体を締める事にしました。

配信なので著作権の無いクラシックからと考えタイトルにピッタリの「月の光」をセレクト。


著作権の無いクラシックからというのは完全に大林宜彦さんの「転校生」の影響ですね。

というか「月世界フィルム」のオープニング部分は完全に「転校生」の影響ですね。


映写機の音から始まってクラシックが流れ舞台情景だけを映す。


うん、「転校生」だわコレ笑。


始まりを目覚まし音でスタートさせて最後おやすみ。の構成は星の自転で朝が来て夜になるイメージ。

それと共に「ピノキヲ20年史」のイメージです。

20年前の1曲目と同じ「アニメチックロマンス」で始めて「この続きのお話しは次回へ」で終わる。

けどテロップは「NEVER END」。(直訳するなら「永遠に終わらない」みたいな)


なんというかピノキヲって決して「全世界で大人気!」とかじゃないし細々とした存在な訳ですよ。

けど最近やんわり思う事の1つとして、ピノキヲ観て何かが残った人が

それを誰かに伝えてくれて、伝えられた人が更に誰かに伝えたら、、、、、

100年先でも聴こえる事になるんじゃねえのー?って。


この辺りの話は「星霜図鑑」に繋がるのですが、誰もが好んで読まない物語でも

キミだけが読んで記録して、更に誰かにその物語を書き記したなら

見えている星の光は既に無い遠い昔の光と同じじゃね?


そこに至るまでに役に立たない風見鶏と方位磁石で水色の道を歩くんですけどねー。

と!いった塩梅で「月世界フィルム」という映画は完成しました。


さて、アーカイブ期間も終了を迎えこのフィルムは消失する訳ですが充分に観た人の心を打つ作品に出来たという自負は有ります。あとは宜しく!笑


さーてと!20周年は始まったばかりです。何しようかな!

これからも宜しく!











水色時代

セガ・ドリームキャスト1台で音楽制作する世界唯一の音楽ユニット「ピノキヲ」の公式サイト