丹下段平目線。


こんなにも緊張しながら漫画を読む事が今迄有っただろうか?

たぶん無い。

ある漫画雑誌の4月号を購入。
併せて購入した他の漫画単行本を先に読破。

さて、と目当ての雑誌を徐に捲ると見覚えのある絵柄がいきなり飛び込んで来たのだ。

慌てて表紙ごと閉じる。
「おいおい!巻頭かよ!」

こりゃイカン!と一旦煙草に火をつけ心を落ち着かせる。
なんというか「気軽」に読んじゃ駄目だと思ったんです。

ファンとしてはツライ所ですが正直「もうこの人の新しい作品は読めないんだろうな」と
心の隅っこに有ったので。

そんな人の作品が5年ぶりに読めるんです。
「広告4コマ」は偶に描いているのですが、まさか20ページもの新作が読める日が来るなんて!

意を決して表紙を捲る。

1ページ目3コマ目と4コマ目の台詞に、いきなりノックアウトされる。
ずしりと重たい感情。

2ページ目で、その重たい感情は重量を増し一気に底まで沈めにかかってきた。

それでも「また新作が読めた」という嬉しさが混じる。
そこからは1コマ1コマ噛み締めるように最後まで静かに読み切った。

「次読めるのは何時だろう?」の期待と「コレが最後の作品になったら・・・」の不安が混ざり
しばらく整理がつきません。

先に読破した漫画単行本が
「漫画家の実情っぽく振る舞ってるけど単に漫画を題材にしただけの王道バトル物ファンタジー少年漫画17巻」
だったのですが(コレはコレで方法論としてアリなので否定はしてません)

その中に
「俺たち50になったら何してっかな?」
「一生食えてマンガ家だったな」
「そうだよ!」
なんて台詞があるんすよ。

流石にこれは少しカチンと来ましたけど。

だって、こんなに緊張して読んだ5年ぶりの作品の、前述の2ページ目の台詞ってのが

「無論その程度の仕事量で暮らしが立つはずもない」
「生活はすでに破綻しつつあった」

なんですよね。

けどこの作品を読後「こいつは漫画家じゃないわ」と思うのか?と。

アスキーに「漫画雑誌部門」を作らせた元凶の男だぞ?
わざわざ「エンターブレイン」なんて分社させてまで。(後に角川に吸われたけど)

立派に「50歳・漫画家」じゃないか。
生活は破綻しつつあるけど。

次いつ読めるか分からんけど今回の作品を見る限り
連載復帰は近い!・・・・・かな?

水色時代

セガ・ドリームキャスト1台で音楽制作する世界唯一の音楽ユニット「ピノキヲ」の公式サイト